テキスタイルラボNO. 147 / 173
同じ糸から生まれる、ニットと織物(ウーブン)の奥深い世界
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同じ糸から生まれる、ニットと織物(ウーブン)の奥深い世界

スウェーターとシャツはなぜこれほど着心地が違うのでしょう?ヨガウェアの伸縮性の秘密を「糸の組み方」から解き明かします。

マンゴー編集部·2026-10-06·約8分で読めます

クローゼットを開けたとき、まず感じるのは、服それぞれが持つ多様な「肌触り」ではないでしょうか。ふんわりと体を包み込むセーター、パリッと涼しげなシャツ。これらはもしかしたら、同じ「綿」や「ポリエステル」の糸から作られているかもしれません。それでも私たちは、この二つの服が全く異なるものだと本能的に知っています。この着心地の差は、実は「糸の組み方」という、生地を作る二つの基本的な方法、ニット(Knit, 編物)と織物(Woven, 織物)に由来します。

糸が織りなす、二つの表情

普段何気なく身につけている服ですが、その構造をじっくりと見つめる機会は意外と少ないものです。生地の性質を決定するのは、糸の種類だけでなく、「糸の組み方」が大きく関わっています。手編みのセーターを編む様子や、機織り機で布を織る場面を想像すると、その違いがぐっと身近に感じられるでしょう。

ニットは、手編みのように一本の糸をループ状にし、それを次々とつなぎ合わせていく方法です。セーターの糸が一本ほつれると、するするとほどけてしまう様子を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。このループ構造のおかげで、ニットはあらゆる方向に柔軟に伸びる、優れた伸縮性を持っています。また、糸と糸の間に空気を含みやすい構造のため、ふんわりと暖かく、体の曲線に優しく寄り添うような柔らかな風合いが特徴です。

一方、織物(ウーブン)は、機織り機で生地を織るように、縦方向の「経糸(たていと)」と横方向の「緯糸(よこいと)」を、まるでバスケットを編むかのように緻密に交差させて作られます。このため、織物はほとんど伸びず、型崩れしにくい安定した形を保ちます。耐久性に優れ、風を通しにくい特性から、ジャケットやパンツ、バッグなどに幅広く用いられます。

身体と心に寄り添う、ニットという選択

ヨガマットの上で、あるいは日常の中で、私たちは身体を自由に動かすとき、ウェアがまるで自分の身体の一部であるかのように感じられることを望みます。深く息を吸い込み吐き出すプラーナーヤーマ(調気法)、身体を曲げたりねじったりする様々なアーサナ(ポーズ)に合わせて、ウェアが自然に、そしてしなやかに寄り添ってくれること。まさしくこの理由から、ほとんどのヨガウェアやアスレジャーウェアは、ニット製法で作られています。

ニットの柔軟なループ構造は、あらゆる方向への快適な伸縮性をもたらし、大きな動きの妨げになることがありません。身体にやさしくフィットしながらも締め付けない着心地は、目の前の動きに集中する手助けとなるでしょう。心地よさは、ヨガの練習が終わった後も続きます。スタジオから出て立ち寄ったカフェでも、家路につく道すがらでも、ニット素材のウェアは、日々のあらゆる瞬間に自然と溶け込み、私たちをそっと支えてくれます。

心地よい安定感、織物(ウーブン)がもたらす安心

時には、身体をしっかりとホールドしてくれるような安定感が必要な瞬間もあります。動きやすさと同じくらい大切なのが、確かな「サポート力」と「耐久性」です。織物(ウーブン)は、まさにこうした役割を果たすのに適した素材と言えるでしょう。

緻密に織られた構造のおかげで、型崩れしにくく、外部からの摩擦にも強いという特長があります。そのため、梅雨の肌寒い日や、夏の強い日差しの中でのランニング時に風を防ぐ軽量ジャケット、あるいは耐久性が求められるトレーニングパンツの一部などに、織物(ウーブン)素材が用いられることもあります。最近のアスレジャーウェアでは、快適なニットを主軸にしつつも、必要な箇所に織物(ウーブン)を効果的に配することで、機能性とデザイン性の両方を満たす製品も増えています。

同じ素材なのに、なぜこんなにも違う?その秘密を解き明かす

私たちは普段、「綿のTシャツ」や「ポリエステルのレギンス」といったように、使われている繊維の名前で服を呼ぶことが多いでしょう。しかし、今や私たちは、同じ綿でも「綿のニット」なのか「綿の織物(ウーブン)」なのかによって、それが全く異なる服になることを知っています。綿で作られたニットは、私たちが日常で愛用する肌触りの良いTシャツになり、綿で作られた織物(ウーブン)は、パリッと涼やかな夏のシャツになるのです。

このように、生地の持つ個性は、どのような糸(繊維)が使われているか、そしてその糸がどのように組み合わされているか(構造)によって決まります。これからは、服を選ぶ際に、繊維の種類と合わせて「ニットなのか、それとも織物(ウーブン)なのか」という視点も加えることで、ご自身の活動やライフスタイル、そして季節の移ろいに、よりフィットする一枚を見つける良い手がかりとなるでしょう。

Flowmango(フローマンゴー)が考える、素材選びの哲学

心地よい動きは、心地よいウェアから生まれると、私たちは考えます。Flowmangoは、ウェアが単に身体を覆うだけでなく、皆さまの動きの体験をより豊かに、より深くする大切な要素であると信じています。

だからこそ、私たちは素材選びに細心の注意を払います。動きを妨げないしなやかな伸縮性、肌に触れたときの優しい感触、そして運動後も、忙しい日常の中でも心地よさが続く実用性。これら全てを考慮し、Flowmangoでは多くの製品にニット構造を採用しています。Flowmangoがお届けするウェアが、皆さまの大切な「自分と向き合う時間」や「健やかな動き」を、そっと支える良きパートナーとなることを願っています。

参考文献

  • Wikipedia: Knitting: ニット(編物)の基本構造であるコ(loop)が鎖のように連結する原理を参考にしました。
  • Wikipedia: Weaving: 織物(ウーブン)で経糸と緯糸が垂直に交差する製織方式を理解するのに役立ちました。

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