テキスタイルラボ  ·  2026 · 夏NO. 72 / 72
木の恵みが紡ぐやわらかさ:モダールとテンセル™の魅力
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木の恵みが紡ぐやわらかさ:モダールとテンセル™の魅力

ヨガウェアやリラックスウェアで感じる、なめらかな肌触りの秘密。再生セルロース繊維の魅力に迫ります。

マンゴー編集部·2026-09-08·約8分で読めます

心地よい一枚の服は、その日の気分や感覚まで変えてくれるものです。特に、直接肌に触れる衣服の肌触りは、想像以上に私たちに大きな影響を与えます。例えば、仕事終わりにやわらかなリラックスウェアをまといソファにもたれる時、あるいは、なめらかなヨガウェアでマットの上で体を動かす時。私たちは、繊維がもたらすささやかな安らぎを感じ取っています。

最近、多くの方に選ばれている「肌に優しい」を謳う衣料品には、「モダール」や「テンセル™」といった名前が頻繁に見られます。聞き慣れないこれらの繊維には、「木」を原料としている、という共通点があります。FLOWMANGOテキスタイル研究所では、木がどのようにしてしなやかな糸となり、それぞれの繊維がどのように異なるのかを、わかりやすくご紹介します。

木から生まれる、しなやかな糸の物語

「木」が服の素材になる、と聞くと少し不思議に感じるかもしれません。しかし、その製造工程は意外とシンプルな原理に基づいています。紙を作るために木材を細かく砕いてパルプにする過程と、よく似ているのです。

再生セルロース繊維は、木や竹などから抽出した植物由来の原料(セルロース)をパルプにし、これを液体に溶かします。そして、ごく小さな穴から細い糸のように押し出して固める、という方法で作られます。まさに、自然由来の原料を、人間が扱いやすい形へと「再生」させて生み出す糸なのです。この過程で、どのような木材を使い、どのような方法で溶かして糸にするかによって、私たちが知るレーヨン、モダール、リヨセル(テンセル™)といった、異なる名前の繊維が生まれてくるのです。

レーヨン、モダール、テンセル™。それぞれの個性と進化

仕事終わりのリラックスタイムに手に取った服の品質表示タグに、レーヨン、モダール、テンセル™といった名前を見たことはありませんか?これらはすべて木のパルプを原料とする「家族」のような存在ですが、世代ごとに少しずつ特徴が異なります。

  • 1世代目:レーヨン(ビスコース) 最も古くから開発された再生セルロース繊維です。シルクの代替品として作られ、なめらかな肌触りと美しい光沢が魅力です。しかし、水に濡れると強度が低下し、シワになりやすい傾向があるため、少し丁寧なケアが必要となります。

  • 2世代目:モダール レーヨンの欠点を補う形で登場したのがモダールです。主にブナの木を原料とし、レーヨンよりも強度が高いため、水洗いも比較的自由にできます。その特有のやわらかく、とろみのあるドレープ感(流れるような落ち感)から、下着や寝具、リラックスウェアなどに多く用いられています。着用すると体をやさしく包み込むような感触が、心地よい安らぎをもたらします。

  • 3世代目:リヨセル(テンセル™) リヨセルは、さらに一歩進んだ繊維です。代表的なブランド名である「テンセル™」として、より多くの方に知られているかもしれません。リヨセルは、繊維製造工程で使用する溶剤をほぼ100%回収・再利用する、環境負荷の低い製法で注目を集めました。機能面でも優れており、モダールよりも強度が高く、表面が非常に滑らかなため、まるでシルクのような柔らかな肌触りを提供します。また、優れた吸湿性と速乾性を持ち、体を常に快適な状態に保つため、アクティブなシーンで着用するウェアにも適しています。

ヨガウェアに最適な理由とは? 心地よさを追求した素材の力

動きに集中する時間、もし衣服が体にまとわりついたり、違和感があったりしたら、その動きに完全に没頭することは難しいでしょう。ヨガやピラティスのように、体の繊細な感覚に意識を向けるような動きであるほど、衣服の役割はより重要になります。

モダールやテンセル™リヨセルといった繊維は、まさにそうした時間のための優れた選択肢となり得ます。肌に触れる感触はシルクのように滑らかで柔らかく、どんな動きも邪魔しません。伸縮性を与えるポリウレタン(スパンデックス)と混紡することで、体の曲線に沿ってしなやかに伸び、心地よくフィットするため、あらゆるポーズで自由な感覚を味わうことができます。また、汗を素早く吸収し、乾かす吸湿速乾性にも優れているため、運動による体の熱りを快適にクールダウンする手助けをしてくれるでしょう。

朝の静かなストレッチや、一日の終わりに行うリラックスヨガ。そうした自分と向き合う時間に寄り添うやわらかなウェアは、単なる機能を超え、日々の「セルフケア」の一部となり、心豊かな時間へと誘ってくれるはずです。

心地よい素材を選ぶヒント

複雑な繊維の世界で、ご自身にぴったりの一枚を選ぶのは難しく感じるかもしれません。しかし、いくつかポイントを押さえておけば、より良い選択ができるようになります。まず、衣服の内側にある品質表示タグを確認する習慣をつけましょう。どのような繊維で作られているか、また、他の繊維とどのように混紡されているかを知ることができます。モダールやリヨセルの含有量が高いほど、その特有のやわらかさをより強く感じられるでしょう。ここに伸縮性のある素材が少し加わっていれば、動きやすさとのバランスが取れた、理想的なウェアと言えます。

もちろん、最も確実な方法は、実際に手で触れてみることです。指先から伝わる感触を確かめ、肌に触れた時の心地よさを想像してみてください。ご自身の日常や動きに、そっと寄り添う素材を見つける、ささやかな喜びを感じられるはずです。

素材が織りなす、豊かな体験

私たちは単に「服を着る」のではなく、「肌触り」や「着心地」、そして「気分」をまとうものだと考えます。どのような素材で作られているかを知ることは、その服をより深く理解することにつながります。一本の木がしなやかな糸となり、その糸が織りなされて体を優しく包む一枚の服になるまでの旅に、想いを馳せてみませんか。

FLOWMANGOが提案する「動き」とは、華やかなテクニックよりも、ご自身と向き合い、内なる声に耳を傾ける時間の価値を大切にしています。心地よい素材の服を選ぶことも、これと似た文脈にあると言えるでしょう。ご自身の毎日をより快適にし、動きをより自由に解き放つような感覚に集中する。それこそが、あなたにとっての「良い選択」の始まりとなるはずです。

参考文献

自分と向き合う時間、自分を解き放つ動きを。Find Your Flow

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